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ギターのネックの材質。メイプル、マホガニー、ナトーの違い、特徴

これまでギターについては、ミニアコースティックギターとアコギの4つ違いクラシックギターとアコギの5つの違いクラシックギターの弦高の目安などの記事をご紹介してきました。

今回は、ギター(アコギ、エレキギター)のネックに使われる木材の材質について、ご紹介してゆきたいと思います。

ギターに使われる木材というと、どうしてもボディ材が注目されますが、ネックの材質も音に関係してくると言われています。

また、ギターのネックは強度も非常に重要になってきますので、そういう意味でも材質というのは重要になってくると思います。

ギターのネックに使われる木材としては、メイプル、マホガニーが多く、今回は、その2つの違いやそれぞれの特徴、利点、音の違いなどについて見てゆきたいと思います。

また、マホガニーの代替材として使われることも多いナトーについても記事の最後でその特徴についてご紹介したいと思います。

尚、今回はギターのネックの材質についてですが、指板(フィンガーボード)の材質についてはギターの指板の材質。ローズウッド、メイプル、エボニーの違いと特徴にてご紹介していますので、よかったらそちらを参照ください。

それでは早速、見てゆきましょう!

目次

ネックの材質について

まず、ネックの材質についてですが、ギターを選ぶ際は、ネックの広さ(幅)であったり、厚み、重量感、そして、形状も重要になってくると思いますが、ネックの材質そのものも、ギターを選ぶ際には重要な要素になってくると思います。

冒頭でも書かせていただいた通り、材質というと、やはり、ボディに使われる木材が一番注目される傾向があるかと思います。

勿論、ボディに使われる木材は音に直結してくる重要な要素ではあるのですが、ネックの材質も音に影響を与えると言われています。

また、ネックを選ぶ際ですが、ネックは弦のテンションに耐えなければならないので、強度も非常に重要になってきます。

今回、ご紹介する「メイプル」、「マホガニー」がネックで使われる木材としては最も一般的ですが、その他にも、ギターによっては、いくつかの材を張り合わせてネックそのものの強度を上げているものもあります。

さて、次に、メイプル、マホガニー、ナトーのそれぞれの特徴や違いについて見てゆきたいと思います。

ネック材としての「メイプル」の特徴とは?

下の写真は、ネック材にメイプルを使用したモデル(フェンダー ストラトキャスター)。メイプルは、白っぽく明るい色が特徴です。

メイプルはネック材としては非常にポピュラーな木材の一つで、ネック材として使われるのは、ハードメイプルと呼ばれるものになります。(他にもソフトメイプルがあります)

メイプルの最大の特徴は何といってもその「強度」です

ギターは張る弦によっては、70キロ前後の負荷が常にかかっていると言われていて、その分、ネックには強度が求められます。

その点、メイプルは非常に硬い木材で、十分な強度があり、ネックには最適な木材と言えます。

ギターでは、エレキギター※で使われることが多いですが、アコースティックギターのネック材としても使われます。

※エレキギターでは、ストラトキャスターやテレキャスターなどのフェンダー系ギターによく使われています

写真はフェンダー ストラトキャスター:

また、メイプルはネックだけではなく、ボディ材として使われることもあります。

音の特徴ですが、メイプルのような硬い木材は、硬めの音、またはクリアな音を出すと言われていますが、メイプルも同じように、クリアで、タイトな、そして、アタックの利いた音になると言われています

一方、次にご紹介するマホガニーは対照的で、やわらかい音になると言われています。

メイプルはまた、見た目にも整った美しい木目が特徴で、経年変化によってアメ色に焼けてくることもあり、そういったヴィンテージ感を楽しむこともできるのもその特徴と言えると思います。

ここで少しメイプルについてまとめると:

・非常に硬い木材でネックには向いている
・マホガニーに比べると、クリアな音、アタックの利いた音

ネック材としての「マホガニー」の特徴とは?

下の写真はネックにマホガニーが使用されたモデル(テイラーギターズ)。マホガニーは茶褐色で木材独特の温かみのある色が特徴です。

次はマホガニーですが、マホガニーもネック材としては代表的な木材になります。

マホガニーの最大の特徴は、何といっても「温かみのある音」になります

硬さ、強度という面ではメイプルに劣りますが、メイプルに比べると温かいサウンドになりやすく、その特徴から、アコースティックギターにはよく使われるネック材になります。

マホガニーはまた、加工しやすい特徴がある他、メイプルに比べると軽量である点もその特徴の一つになります。

ただし、ネック材として使用する場合は、その軽くて加工しやすいという特性から、メイプルに比べると、ネックのトラブルなどが起きやすいかも知れません。

メイプルに比べると、強度がなく、マホガニーのネック材を採用したギターをあやまって倒してしまったら、ネックが折れた・・・なんて話もあったりします。

ただ、強度がないといっても、硬いメイプルに比べて・・ということで、ネック材としてはポピュラーな木材ですから、強度そのものに問題があるわけではありませんので、念のため。

あくまでもメイプルと比較して、強度がやや劣る・・ということになります。

マホガニーはまた、ネック材として使われるだけではなく、ボディ材としても広く採用されている木材になります。

マホガニーについて少しまとめると:

・温かい音が特徴
・硬さ、強度という面ではメイプルに劣る
・アコースティックギターではよく使われる

ネック材としての「ナトー」の特徴とは?

下の写真はネック材にナトーを使用したモデル(YAMAHA FG840)。マホガニーと似た赤褐色、もしくは茶褐色が特徴です。

最後にナトーについて少しご紹介したいと思います。

ナトーは東南アジアの木材で、マホガニーに近い木材であると言われています。

色もマホガニーによく似た赤褐色で、実際にマホガニーの代わりに(代替材として)使われることもあります。

ナトーは主にネック材として使用されることが多く、硬さとしては、マホガニーよりもやや硬い※と言われています。

※日本のギターメーカー、「Aria」によれば、ナトーの特徴は、「マホガニーと似た赤褐色で性質も似ているため、主にネック材と使用される。マホガニーよりやや硬い。」(出典:Aria ギターホームページ/ariaguitars.com/jp/misc/cg-material.html)

ただ、木(材)によって、(硬さなどの)ばらつきがあり、楽器(ギター)に使用する際は、よく選別して使う必要があると言われています。

そんなこともあって、ナトーはマホガニーに比べると、(ナトーを使っているギターはマホガニーを使っているギターに比べて)比較的安価になります。

例えば、ギターに採用される際、ワンランク上のモデルのネックにマホガニーを、その下のモデルのネックにはナトーが使われている・・・というケースもメーカーによってはあります。

ナトーについて少しまとめると:

・マホガニーに似て温かい音になりやすい
・マホガニーよりもやや硬い(ものもある)
・材によってばらつきがあるが、価格はマホガニーを採用しているギターよりも安価になる傾向がある

どの木材を選べばいいの?

さて、ここまでギターのネックの材質について、また、メイプル、マホガニー、ナトーのそれぞれの特徴やその違いについて見てきました。

それぞれに特徴、長所があり、これがギターのネックには一番いい・・というものはないかと思います。

ただ、ネックの材質の基本的な選び方としては、

・ネックに強度を求めるなら、「メイプル」
・クリアな音、硬めの音を求めるなら「メイプル」
・温かみのある音を求めるなら「マホガニー」
・マホガニーの良さをある程度残しつつ、価格も抑えたい場合は「ナトー」

といったことが言えるのかなと思います。